http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kyoto/feature/kyoto1213456260857_02/news/20090510-OYT8T00054.htm
歴史腰を据えて学びたい <39>
京都市内の土産物店で、戦国時代の武将や幕末の志士らにちなむ菓子や雑貨、人形などを、大勢の客が品定めしているのを見かけた。客の多くは、若い 女性や修学旅行生ら。広島市から観光で京都に来たという20歳代の女性2人に聞くと、「最近、歴史ドラマとかを見るようになり、戦国武将のグッズなんかが かわいく思えてきて」と笑顔を見せた。
今、世間は歴史ブームなのだという。若手人気俳優を起用し、高視聴率を記録しているテレビの時代劇の影響もあってか、特に若い世代の関心が高まっているとされる。
インターネットのショッピングサイト「一夢庵」では、話題の直江兼続をはじめ、織田信長、武田信玄、徳川家、新撰組など約300種類の家紋や旗印 などをパッケージにあしらった「武家ようかん」(1本200円)が若者らに人気を呼び、月300万円を売り上げるヒットに。家紋入りのTシャツを着たクマ の人形なども若い女性らに売れており、サイトを開設するウェブマックス(中京区)の渡辺康一社長(39)は「歴史ブームを追い風に、商品に付加価値をつけ ることでビジネスチャンスが拡大した」と手応えを感じる。
では、このブームを機に、若い世代は、日本史を学ぶ意欲をも高めているのだろうか。府内外で史跡巡りや講演会などを開いているNPO法人「京都歴 史地理同考会」の中村武生理事長(41)は、「イベントに若い人の姿が増えたわけでもない。表面的にブームに乗るだけでなく、掘り下げて、歴史の実像に迫 ろうという思いを、もっと多くの人に抱いてもらいたい」と残念そうに言う。
来年には、歌手で俳優の福山雅治さんが坂本龍馬を演じるテレビドラマが放映されると聞く。龍馬が活躍し、凶刃に倒れた地・京都もまた、新たなブー ムに包まれるかもしれない。龍馬ファンの当方としても、せっかくだから、龍馬を、そして古都の歴史を、より深く学びたい。単なる一過性のブームに終わらせ ないために。(田岡寛久)
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