今日の西洋美術史は、いよいよ西洋美術の本題に入った。去年の講義にはなかった部分を今年は追加している。去年の最終講義で学生が書いた感想で印象的だったのは、やはり西洋美術の流れを一通り勉強したかったというものだ。どうも自分は、高校までに西洋美術をしっかり学校で勉強してきたはずである、今からもう一度やってみる必要はないし、学生もそれは望んでいない。というように解釈してきた。しかし、学生は実際にはそうではないようだ。高校までに勉強しても忘れてしまった、高校の時は興味がなかった、などの理由だ。そこで今年はまるで高校の美術や、世界史の授業のように西洋美術史をやってみようと考えた。
だが切り口だけは大王カラーをなくしたくはない。そこで、去年と同じように日本美術と西洋美術の接点すなわちジャポニズム・現代アート・WEBデザイン、京都に残るそのころのものを実際に見る、すなわち三条通に残る19世紀末~20世紀初頭の西洋近代建築という身近な部分から入った。これは西洋美術とは自分とは全く切り離された別の世界のものであるという認識にならないよう留意したつもりである。これが大王カラーのつもりだ。
西洋美術史の書物をひもといた。どれもがエジプト、メソポタミアからギリシャ、ローマ、そしてビザンチン。さらに中世ヨーロッパに入っていく。なんか違うのではないか?西洋の概念が違うのではないか?エジプトといえばアフリカ、メソポタミアといえばイラクのことではないか。そこから入ることは避けるとしよう。
今日はロマネスクからゴシックまでを講義した。ここは絵画の重要度がきわめて低い時代でもあり、建築ばかりの説明となった。しかし年末最後の講義が三条通西洋近代建築見学会であったので無理なく入れたのではないかと思う。
だが、一つ重大なことに気がついた。ピサ大聖堂もノートルダム大聖堂も実物を見たことがない。見たこともないものを教えるのは難しい。あまりにもリアリティがないのだ。
近いうちにイタリア、フランスでこれらのものをじっくり見てきたいと強く思った瞬間だった。
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